Dear my Dr.
「実は…」

口を開いたのは浩哉くんだった。

「この度、結婚することになりました」

いきなりの展開に頭がついていかない。

悠ちゃんもあっけにとられているようで、ポカンと鳴海さんを見ていた。

お義父さんは、静かに言う。

「ま、そういうことだから。予定通り、次期院長は浩哉になってもらう。悠哉は、新しく開院する“東部メディカルセンター”の責任者だ」

「え?何?東部メディカル…??」

「伊崎先生のところと協力して作る、心臓血管と脳血管の予防医療専門病院だよ」

なんかよくわかんないけど、スゴイ!

悠ちゃんは信じられないという顔をして、私の手を握った。

「僕はただ美波が好きで結婚しただけだったのに…美波のお陰だよ」

「私は何もしてないよ」

そう言いながら、ふと思う。

これって、やっぱり政略結婚なんじゃないかな?って。

全部、お父さん&お義父さんの策略通りの結婚だったんじゃ…?

私たち、いいように転がされてるだけ!?

でも、隣で心から喜んでる悠ちゃんを見て思う。

…私、この人と一緒になれてよかった。

私の気持ちはホンモノ。

彼の気持ちもホンモノ。

だから、これからもずーっと、愛し続けてね?

やさしいあなたに、甘えさせてね?




【END】
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