Dear my Dr.
変わらない月曜日。

パソコンの前で、ただひたすらデータを打ち込んでいた。

「伊崎さん、ちょっと」

課長に呼ばれる。

「結局、いつ退職になるんだったかな?むこうに行く準備もあるだろうし…」

そういえば、まだちゃんと期日を言ってなかったっけ。

「大変なんでしょ?」

「え?」

「大きな家同士だから、結婚式とか盛大にしなきゃいけないらしいね」

「…えぇ、まぁ」

結婚自体は急きょ決まったことだけど、式の会場も座席もすでに決まっていたこと。

それも、何年も前から。

私は何も決めてない。

全部、両家で相談の上。

改めて思い知る。

政略結婚という事実。

もう後戻りはできない。

席に戻ると、さっきなかった書類が乱雑に置かれていた。

……最悪。

顔を上げると、3つ上の女の先輩と目が合う。

「それ、今日までだから」

ヒガミもいい加減にしてほしい。

返事もせず、黙って席に着く。

これも、あと少しの我慢。
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