Dear my Dr.
「提案なんだけどさ」

「んー?」

突然、切り出される。

「アメリカ行きまでにまだ2ヶ月あるから、仮住まいになるけど、家探そうか」

実は、

婚姻届を出しても、別に暮らしてた。

どうせアメリカに行くのだからって、無駄な引っ越しもしない予定だった。

なのに、急に。

「いいの?私はもう仕事辞めちゃうし、ヒマだからいいんだけど…悠ちゃん大変じゃない?準備とかもあるのに、大丈夫?」

本当は、一緒に住みたかったし。

嬉しいのはやまやまだけど…。

「大丈夫。必要最低限あれば生きていけるから。荷物だって、もう向こうに送ってあるし、準備なんて知れてる」

「ほんと?やった!」

“今日は2人の門出”なんてスピーチで言ってた人がいたけど、やっぱり本当。

ゴールインは、始まりなんだ。

予定よりも少し早目の、新婚生活がやってくる。

ワクワクする。

「じゃあー…」

「じゃあ?」

悠ちゃんがニッコリしながら言う。

「とりあえず、初夜だし?」

「えっ、ちょっと待って!?」

「ん?聞こえないなぁ…」

ソファーに崩れ落ちながら、やっぱりちょっとイジワルだ、なんて思った。

初めて日付をまたいだ日。

きっと、ここからが本当の始まりだね。
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