Dear my Dr.
“みなみね、大きくなったら、花嫁さんになるんだ!”

“だれのお嫁さんになるの?”

“うーんと…”

“オレだよねー?”

“…そうなの?ひろやくん、みなみとケッコンしてくれるの?”

“お父さんに聞いてみたら?”




結婚の意味もわからない頃。

確かに、私は浩哉くんから、そう聞いた気がする。

どうなってるんだろ?

いつ悠ちゃんになったんだろ?

さっぱりわからないまま、他のアルバムを見てみる。

やっぱり、なぜか浩哉くんとの写真が多い。

一緒に遊んだ記憶なんて、ほとんど無いくらいなのに…。

「美波、何してるの?アルバム?」

お母さんが来て、覗き込んだ。

慌てて閉じた。

掘り返しちゃいけない気がして。

気になるのに、聞けない。




家に帰ると、電気がついていた。

もうそんな時間だった?

「おかえり」

悠ちゃんは、いつもと変わらない。

「ごめん…こんなに早いとは思わなくって…」

「定時で帰ってきたからね」

どこ行ってたの?

何してたの?

そんなこと、全然聞かないんだね。
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