Dear my Dr.
「お父さん!大丈夫なの?」

「ああ、ちょっと意識を失ってただけだから。今は平気だよ。悪かったな、夜遅くに」

「びっくりしたよぉ…」

意外と元気で、いつもと変わらないお父さんに安心する。

人騒がせな…。

「悠哉くんも、すまなかったね」

「…いえ、安心しました」

お父さんは仕事中に倒れたらしい。

年中無休の仕事人間だから、きっと過労で倒れたんだろうけど…

でも、おかしくない?

仕事中ってことは、倒れた時、病院にいたんだよね?

わざわざ茅島病院に来る必要あった?

「まだまだ若いんだ。そんな歳でもないから、安心しなさい」

お父さんは笑う。

悠ちゃんは、黙ってた。

何か知ってるんじゃないの?





数時間後、もう日付が変わった頃。

お兄ちゃんが来た。

新幹線に乗って帰ってきたらしい。

お母さんが慌てて電話したから、こんなお父さんの状態を見て、ちょっと怒っていた。

「人騒がせにも程があんだろ」

だって。

お兄ちゃんは、昔から、お父さんと仲が悪い。

仲良くしてほしいよ…。

「で、なに?診断は?」

「過労だ」

「自分の病院は過労の診断もできねぇのかよ?ヤブ医者か?」

もー…そうやって毒づく。

機嫌が悪い上に、もともとの口の悪さで、お兄ちゃんは絶好調すぎる。

お父さん弱ってるんだし、その辺にしといてあげてよぉ…。
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