Dear my Dr.
「話になんねーから、明日茅島院長から聞くよ。はー…まったく…」

そう言って、お兄ちゃんは部屋を出て行こうとする。

すると、お父さんが言う。

「秀介、待ちなさい」

手には、CD-Rが1枚。

お兄ちゃんは、静かに受け取って部屋を出た。

……なに?

意味深すぎる。

静かな部屋でのやりとり。

お母さんは泣き疲れて、ソファーでうたた寝をしてる。

悠ちゃんが言う。

「美波、疲れただろう?お義父さんも落ち着いてるし、明日また出直そうか」

「私は…」

お父さんとお兄ちゃんのやりとりが気になって、帰る気になれない。

でも、居たって何の役にも立たないし…。

「わかった…。お父さん、また明日来るからね?」

「どうせ明日退院だ。心配かけてすまなかったな」

「おやすみなさい」

部屋を出る。

と、廊下には、待ち伏せしてたかのように、お兄ちゃんが立っていた。

「悠哉くん、パソコン貸して?」

お兄ちゃんの手には、さっき受け取ったCD-R。

「医局に案内しようか?」

「うん、よろしく」

「……美波は、先に車に戻っててくれる?秀介くん案内したら、すぐに行くから」

悠ちゃんは言った。

でも、お兄ちゃんはハッキリと言う。

「いや、美波も知ってた方がいいと思う。親父がどう言おうと、家族なんだから知る権利はある」

何を?

お父さんは何か隠してるの?

< 61 / 120 >

この作品をシェア

pagetop