Dear my Dr.
「悠ちゃんさ、伊崎病院の院長室の前で張り込みしてたの?」

「…っ!?なんでそんなことっゲホっ」

めずらしく焦ってる?

悠ちゃんが焦ってるのなんて、ほとんど見たことないから新鮮。

どんな顔してるんだろ?

ちょっとカワイイ悠ちゃんを想像。

「どうやって説得したの?」

「…あ~、もういいだろ?」

「聞きたいー」

「ダメ」

「なんでぇ?」

「これは、男の約束だから」

そう言われちゃ、それ以上聞けないじゃないの。

そんなに隠す必要ある?

悠ちゃんの意外な一面。

また知っちゃった。

「嬉しかったよ?悠ちゃんが、そうやってお父さんに頼み込んでくれたって聞いて」

素直に言える。

そのとき、私は悠ちゃんのことを何とも思ってなかったのに。

今はその話を聞いて、すごく嬉しくて、もっと愛しく思う。

「…まじで、恥ずかしいんですけど」

ぼそっと言った、そのセリフ。

かわいいなぁ。

やっぱり、悠ちゃんの顔見てたかった。

「待っててね?そっちに行くから」

「うん、待ってるよ」

左手に光るリングをかざして、未来を誓ったあの日を思い出していた。




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