Dear my Dr.
クレールはパッツンの前髪をなでながら、私をまじまじと見る。

「な、なに?」

「この顔で人妻っていうんだから、本当、びっくりしちゃう」

「えー、ひどいよー」

「黙ってたら中学生くらいに見えるのにね。意外と歳食ってるんだから」

「悪かったわねっ、24で!」

そんなクレールは花も恥じらうハタチ。

私の4つも下なのに大人っぽい。

日本人って、なんでこう幼く見られるんだろうか…。

悠ちゃんも危うく学生に間違われるところだった、なんて言っていた。

「彼はどんな人?」

「やさしい人」

「ベッドでも?」

「…!!もう、やだー!!」

「…やっぱり中学生みたいね」

4つも年下のクレールにからかわれる私。

からかいがいがあるのか、クラスでもネタにされたりする。

私ってそんなキャラ?






「美波~、ただいま」

帰ってきた悠ちゃんが、私を後ろから包み込んだ。

「おかーえりー」

ちらりとナナメ上を見上げる。

目が合う。

悠ちゃんは2、3度まばたきした後、フライパンの中を見る。

「うまそう…」

「今日は、麻婆豆腐です」

「豆腐なんてあったの?」

「意外とあるんだなー」

「すっげ久しぶりだ、麻婆」

それにしても、この体勢。

動けない。

動けないうえに、ドキドキ。

「はなして、焦げちゃう」

「いやだ」

悠ちゃんのジャケットは、まだ外の空気に冷やされたまま。

そのヒンヤリ感が心地よかったりして。


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