Dear my Dr.
「こちらなんてどうですか?今人気のデザインなんですよ」

店員さんの勧められるがままに、色々見てみるけど…

目移りしてわからなくなる。

どれも同じに見えてくる。

「ご予算はどのくらいで?」

はっとして悠ちゃんを見ると、悠ちゃんも私を見てる。

えーと、えーと…

「美波が欲しいのを買えばいいよ」

いつもの笑顔。

これだから坊ちゃんは…。

贅沢はキライだっていうの、絶対ウソだよねー。

節約したことないから言えるんだ。

「ねぇ、悠ちゃんはどれがいいと思う?これとかどう?」

「そうだなぁ…あんまりこういうの、詳しくないから」

正直、そう言うだろうなって思いながら聞いた。

いつもそう。

“美波がよければ”って。

婚約指輪のときだってそうだった。

「……また、今度にする」

「そうか。わかった。じゃあそうしよう」

店員さんにお礼を言って、店を出た。

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