Dear my Dr.
「もしもし?」

電話の向こうで、悠ちゃんの声。

『美波?早く終わったから、今から帰ろうと思って』

「えーっ、私まだ外にいるんだけど」

『そうなんだ。もう終わりそう?』

「うん…でも、今から帰ってたら悠ちゃんより遅くなるかもーっ」

『じゃあ、今日は外食にしようか?迎えに行くよ』

「いいの?」

『うん、そこで待ってて』

久しぶりにデート気分だ。

結婚したのに、まだ恋愛ど真ん中。

ソワソワしだす私を見て、絵美子さんが可笑しそうに笑う。

「なんだー、美波ちゃん、本当に旦那様のこと愛してるのねぇ」

だって、ホントに素敵なんだもん。

賢くて、気が利いて、優しくて。

「そういう絵美子さんも、ご主人とラブラブなんでしょう?」

「そうよー?親の反対を押し切って結婚したんだから、意地でもラブラブでいなきゃなんないものっ」

「反対されてたんですか?」

「私は割と裕福な家だったけど、当時の旦那は企業したてのビンボーだったの。ほぼ駆け落ち状態で結婚したのよ~?」

「駆け落ち!?」

「ロミオとジュリエットみたいでしょ?」

なぜか茅島家の長男と、アメリカの女医さんを思い浮かべてしまった…。

やっぱり引っかかるんだよね。

幸せになってほしいから。
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