Dear my Dr.
間もなくして悠ちゃんが迎えに来た。

今日は前髪が立ってないから、きっと手術がなかったんだと思う。

手術のある日は、前髪が乱れてる。

最近になって気づいたこと。

それを悠ちゃんに言ったら、手術用の帽子を被るからなんだとか。

「ごめんなさいね、こんな時間まで引き止めてしまって」

「いえ、開講まで忙しいでしょうから。力仕事があれば、僕も呼んでくださいね」

「ありがとう、大丈夫よ」

お母さんと絵美子さんに挨拶して、悠ちゃんについて歩く。

道端に停めた車のドアを、悠ちゃんが開けてくれるのはいつものこと。

結婚前と変わりないね。

「自分で開けるからいいよぉ」

「いいんだ、僕がしたいだけだから」

そうやって余裕の微笑み。

朝のネボスケ君はどこへやら?

おかしいなぁー?

「美波は何が食べたい?」

「なんでもいいよ」

「そう言うと思った」

悠ちゃんは、どこへ行くとも言わず、ハンドルを握る。

お店は行ってのお楽しみってこと?

着いたのは、

結構意外なお好み焼き屋さん。

「大学時代よく通ってたんだ」

「えー、意外ー」

「なんか落ち着くんだよね」

「そういえば、悠ちゃんってジャンクフードとかも好きだよね」

「たまに食べると旨くない?」

コドモとオトナが共存してる悠ちゃんの性格。

結婚してわかってきたかも。

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