全て”すき…”から始まった…。
拒絶
小学校に入学する頃、パパに大事な話しが
あると言われた。この頃の私は、パパにべったりだった。
”なに?パパ?”
パパは、いつもと同じ優しい顔をしていた。
でも、なんか、いつもと少し違う。
ママの事だった。その時まで、私もママの事を、
パパに尋ねた事もなかった。何となく、聞いてはいけない事の
ような気が、子供心にも感じていた。パパの方も、
ママの話しをしたのは、この時が、初めてだった。
話しというのは、こんな感じだった。
「カオリ、ママの事、覚えてるか?」
「…?覚えてない。」
私の中にママの記憶は、一つもなかった。
「あのね、パパとママは、カオリが今よりちっちゃな時に離婚
したんだ。カオリのママは、大事な仕事があってね、
それで、パパといろいろ意見があわなくて、別れたんだ。」
「…うん。」
ちっちゃな時って、いつなんだろう?とか、
ぼんやり頭で、思っていた。
「それでね、この前、ママから、連絡があってね、
カオリに会いたいって言ってるんだ。カオリ、
会ってみる?」
パパは、そう言った。
「…パパだけいればいい。」
いきなり、ママに会う?って言われても、
よくわからなかった。
私は、ママがいなくて、寂しいとか、
そういう事も、あまり感じていなかったし…。
正直、会いたいって気持ちは、なかった。