全て”すき…”から始まった…。
カオリは、亮からの手紙を読んだ後、

しばらく考え、そして、決心した。

亮の言葉が、嬉しいのと、亮から離れられない、

自分の気持ちが、悲しいのとで、心は、

まだ、どうしようもなく、揺れていた。

でも、いや、だからなのかもしれないが、

母親に会ってみようと、思った。

ずっと、悩みながら、出来なかった事。

一つくらいは、前に進みたかった…。


 リビングの方で、父親は、なにか、

本を読んでいた。

カオリは、父親に話しかけた。

 「パパ、私…ママに会ってみようと、思うんだけど…。」


 「うん。パパも賛成だよ。会っておいで。」

父親は、本を読むのを辞めて、カオリにそう言った。


 「うん…。どんな人なのかな?…。」


 「ふっふっふっ、」

何故か、父親は、笑っている。

 「パパ、何???」

 「カオリは、何回か会った事あるんだよ、昔、この家にも

 遊びに来てたし、それに、ママの職場に、何回か

 行ってるよ。」


 父親のその言葉にカオリは、キョトンとしていた。

 「どこ?」

 「カオリが、結婚式を挙げたホテルだよ。」

 「本当に?」

 「うん。」


 カオリが知らないだけで、母親は、ずっと

近い場所で、カオリの成長を見ていたのだ。

知らないのは、カオリだけだった。

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