全て”すき…”から始まった…。
 その場所は、昔、カオリの父親と母親が、

出合った場所だった。

カオリは、そこで、母親と会って、話しを

してみたかった。

自分が愛されて生まれてきたのか、

少し、自信がなかったから…。

カオリは、少し早めに、その場所、イタリアンレストラン

に、着き、このお店で、出会ったんだ、とか、

思ったりしていた。

なかなかおしゃれなお店だった。

急に、亮と、自分の出会いの事が、思い出された。

カオリもアルバイト先で、亮と出合って

いたから…。

思い出が溢れてきて、涙がこぼれそうになっていた。

そんな時、

「カオリさんね?ごめんなさい、遅くなって。」

そう言って、一人の女性が、前の席に座った。

カオリの母親である。

カオリは、涙が溢れそうなまま、その人を見た。

 「?どうしたの?…私も、昔、ここで…よく泣いた。」

カオリの母親は、優しい顔で、そう言った。

そして、続けて、話し出した。

 「私はね、ひどい女なの、自分が、好きになった人の

 子供を産んだのに、どうしても、仕事が、あきらめられなくって…。

 ちょうど、自分が、したかった仕事のチャンスが、

 回ってきて…。悩んだけど、仕事の方をえらんだの。

 ひどいでしょ?なのに、一人になると、悲しくて…

 その子供に会いたくて、会いたくて…。

 どうしても、会いたい時は、頼んで、会いに

 行ったりしたわ。

 でも、毎週は、会いに行けないし…。

 そんな時、ここに来て、一人で、泣いてた。

 自分で、決めた事なのにね。

 ごめんね、私の生き方に、巻き込んじゃったね、

 本当にごめんね。」

 そう言って、カオリの母親は、涙を流した。

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