全て”すき…”から始まった…。
 カオリは、病室のドアに手をかけた。

どきどきしていた。




 亮は、眠っていた。

病室に来る前に、担当の医者から、

話しを聞いていたから、眠っているのは、

解っていた。

バイクで走っていて、足をバイクに、

巻き込まれたらしい。

今のところ、そんなに深刻な状態では、

ないが、ただ、足の経過を見て、

もしかしたら、手術をしなければいけない

との事であった。

カオリの中では、死んじゃうのでは?とか、

車椅子の生活?とか、記憶が無くなってしまうのでは?

とか、そんな事を想像してたから、

そういった意味では、安心していた。

亮の状態を聞いてから、カオリの父親は、

帰っていった。

それは、ある意味父親の優しさだった。


 カオリは、久しぶりに会う亮の、

痛々しい姿を見て、涙していた。

とても会いたかった亮と、やっと会えたのは、

こんな形で…いろいろな思いが、カオリに

溢れていた。


 カオリは、亮の頬に触れてみた。

暖かかった…。暖かくて、余計に、

涙が、止まらなくなった。

”こんなに、すきなのに…あんな近くにいたのに…

 こんなに、遠い距離になってしまった…。

 でも、何も無かったように、又、亮と暮らしていく

 自信は、本当は…無い……。でも、完全に離れる事も

 出来ない…。許せなくて…でも、すきで……。”


 カオリは、亮の事に関しては、

いつまで経っても、答えを、出せなかった……。

すきになりすぎた………。

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