全て”すき…”から始まった…。

 「安藤さん、聞いてますか?」

突然、彼は、笑いながら、私に聞いた。

 「…ごめんなさい、緊張しちゃって…。」

そう、ごまかした。横顔が綺麗で、見とれていたなんて

絶対言えない。

なのに、

 「俺の顔にみとれてたでしょう?

 見るのはいいけど、仕事は、ちゃんとやろうね。」

そう言って、笑う。

 私は、恥ずかしくって、自分の顔が赤くなるのが

わかった。本当に、恥ずかしい。

ああいう言葉が、さらって言えるのは、多分もてるんだろうな。

絶対私、変な奴って、思われてるよな~。

 
 こんなんで、私、ここで、働けるかな?

めずらしく、弱気になった。


お店が忙しくなかったのと、初日という事で、

その日は、早くあがっていいよと、言われた。


 「明日からまた、お願いね。」

店長のその言葉が、重く感じた。


 心の中が、ざわざわしていた。
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