全て”すき…”から始まった…。
 「カオリから、話したい事があるなんて、

 珍しいよね。なんか、事件?」

 「事件ってわけでもないけど…事件っていえば、事件かな。」

 あいまいな事を、私は、言ってる。

 相談の仕方って、あまりわからないや。

 「なに?もったいぶって、私、浩太とのデートで忙しいんだよ。

 なんて、今日は、あいてるけど。」

 優美は、笑いながら言う。

 優美の浩太とのデートという言葉に、私は、ドキッと

 してしまった。


 「あのね…、気になる人がいるの、バイトの人なんだけど…」

 「う?気になる?嫌なおばさんがいるとか?」

 「…違う。そうじゃなくって、逆。」

 「逆???」

 私の説明も下手だけど、優美は、鈍すぎる。

 こんなんで、ちゃんと恋愛できてるのかな、なんて、

 余計な事まで思っていた。



 「!わかった!カオリ好きな人ができたんだ。そう?

 当たり?」

 「うん、そうみたい。」

 「なに、その自信のない返事は?」

 でも、本当に、自信がなかった。この気持ちが

 人を好きだという事に、自信がなかったんだ。

 ただ、顔が綺麗だったからかも?とか、

 そんなふうに考えようともしていた。

 優美は、間違いなく一目ぼれ、恋だよ!なんて

 はしゃいでた。

 なんのアドバイスをもらうわけではなく、

 私は、バイトに行く事にした。

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