全て”すき…”から始まった…。

 ”疲れた~”アルバイトって、疲れるんだ。

いや、仕事だけのせいではない…。

 「カオリ~、ご飯は~?」

パパが呼んでる。

 ご飯食べよう。私は、リビングにいった。


 「どう?うどん屋のアルバイトは?」

パパは、優しい目をして聞いてくる。

いつも、優しい目で、私を見てくれる。

 「…失敗した…。」

 「ん?何を?」

 「お水とおしぼり持っていって、注文聞くの

 忘れたり…こんなんで、時給もらえるのかな?

 役にぜんぜんたってないよ。」

 「?ははは!」

パパは、なぜか笑いだした。

 「笑い事じゃないよ!」

 「大丈夫、最初は、そんなもんだよ。」

 「いいよ、なぐさめなんて…。」

私は、少しいじけている。


少しパパは、何か考えているみたいだった。


 「あのね、カオリ、パパとママの出会いは、

 イタリアンレストランだった。パパは、

 若い頃、料理人になりたかったんだ。

 ママは、そこにアルバイトに来ていた。

 初日に、ママ、カオリと同じ失敗をしたんだ。

 厳しいお店だったから、店長にすごく

 叱られたみたいだけど、1年後、ママが辞めると

 いった時には、店長に止められる位、

 仕事ができるようになってた。」


 「えっ、びっくり、いろいろ…びっくりした…。パパとママの出会い

 とか、同じ失敗とか…、本当なの?パパ?」

 「本当だよ、パパとママの子だから、

 仕事は出来ないわけない!だから、大丈夫。」

 パパは、笑顔でそう言っている。その顔を見ながら、

 ”同じ失敗したんだ、親子なんだ…”とか思っていた。

 「あさっての高校の入学式、準備出来てる?」

 パパに言われ思い出した。…忘れてた。

 
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