全て”すき…”から始まった…。
 「いらっしゃい?ませ。」

 派手な女の人4人グループが、入って来た。

 いろいろなお客さんは、来るけど、

 あまり、うどん屋には来ないタイプのグループだ。

 入ってくるなり、

 「亮くん~、来たよ!元気~?」

 とか言ってる。

 「元気だよ、久しぶり!」

 と、亮くんも答えてる。

 私の頭の中は、ぐるぐるまわる……。

 ”なんか、いやだ…。”

 すごく親しそうだし、みんな綺麗な人ばかり…。

 それに、私より年上だ。多分、20代前半。

 亮さんって、何歳なんだろう?

 
 ”ガッチャーン!”

 「あっ!」

 お盆を持つ手がすべって…大変な事に…。

 「大丈夫?」

 亮さんが、とんできた…。

 「ごめんなさい…。」

 自分のした大変な失敗に、どうしたらいいかわからない…。

 それに、右手に熱いうどんのつゆがかかったみたいで、腫れてきてる…。

 とにかく、片付けようと床におちた、どんぶりの破片とか、

 拾い始めた。亮さんも拾ってくれてる…。

 ”迷惑かけてる…どうしよう…”

 「右手、やけどしてる、冷やさないと。」

 亮さんに、やけどを見つけられ、手当てまでしてもらう事に…。

 やけどの痛さより、迷惑かけてる事が、

 すごく痛い。

 
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