全て”すき…”から始まった…。

 「亜美、何てことしたんだ!どうして、

 そんな事したんだ!!!」

亮は、初めて亜美に真剣に、怒った。

カオリの友達、優美からの突然の電話で、全てを

知らされたのだ。

亜美が、本当にそんな事をしたのか、事実を知りたくて、

自分の部屋に呼んだのだった。

亜美は、なかなか何も話さず、亮の事を、ずっと

睨んでいる。

 「本当に亜美、そんな事したのか?」

今度は、優しく聞いてみた。

 
 長い沈黙の後、

亜美の目から、大粒の涙がこぼれた…。

「亜美ね…、亜美…、亮兄の事が…好き…

 大好きなの、ずっと、ずっと好きだったの…、

 だから、だから、あのカオリさんが、邪魔だったの…。こわい…自分がこわい…

 …こわいよ…亮兄の事、好きすぎて、どんなひどい事も

 してしまう自分が、こわいよ!……。」


 そう言って、亜美は、泣き崩れてしまった…。

 そんな亜美を、亮は、ただ、抱きしめていた。

 抱きしめる事しか、出来なかった…。

 
< 51 / 118 >

この作品をシェア

pagetop