全て”すき…”から始まった…。
今までのカオリは、バイトに行っても、
人と係わるという事を、全くしてこなかった。
それで、まず同じ女性でパートの、白石さんに
いろいろ話しかけてみようと、決めていた。
お店のカウンターを拭きながら、話しかけようと
するのだが、慣れてなく、なかなか言葉が、
みつからない…。
なんとなく、いつもと違うカオリに、白石さんの方が、
話しかけてきた。
「どうしたの?なんか、気になる事あるの?」
「いえ、そうじゃなくて、…白石さん何歳なのかな?とか思って」
「ふ~ん、変なの、そういう事って、普通初めに聞くよね、
まっ、いいか、25歳よ、3歳の子供がいるわ。」
「そうなんですか、子供さんいるんですか…若くみえますね…。」
カオリは、こういう会話は、苦手、正直なんて返したらいいか、
わからなかった。
「高校1年生に若く見えると言われても、
微妙だな~。」
そう言って、笑いながら、白石は、カオリの方をみた。
「あっ、そうですよね…。」
カオリもそう言って、白石の方を見て、
お互い笑ってしまった…。
「私、白石さんと、もう少し、仲良くしたいんです。」
「仲良く?メリットあるの?」
「そうじゃなくって、普通に仲良くしたいんです。」
「そう、いいわよ、仲良くしましょう。カオリさん
変わってて、おもしろそうだし。」
「おはようございま~す!!」
そんなやりとりをしてる所に、亮が入って来た。
「あれ~、二人でなんのお話ししてるのかな~?」
「内緒です!」
カオリは、即答し、白石は、笑っていた。
この和やかな空気の中で、亮の心だけ、曇っていた。
亜美の事…今度、あんな事になったら、拒めるかどうか、自信が無かった……。