全て”すき…”から始まった…。

 バイトの時、亮に話しがあると言われてから、

カオリは、正直穏やかな気持ちでは、

いられなかった…。


 それに、カオリ自身も、亮にどうしても

話したい事がある。

自分の気持ちを、はっきりさせたかった。

あの亜美の強さが、カオリは、欲しかった。

もう、自分の気持ちから、逃げるのは、

終わりにしたいんだ。


もし、これで、亮にふられても、

それはそれで、仕方がない…。


今のままの状態の方が、かえってよくない。

かっこ悪くても、素直な自分で

生きるって、決めたんだから。


後、5分で9時…。なんて、話そう…。カオリは、生まれて初めて、

こんな緊張がある事を知った。

”9時になった”


「安藤さん、隣の隣の、ミスタードーナツで、

 待ってて、後で、すぐ行くから。」

亮も時間に気付いたらしく、そう言った。


 
 「はい、じゃあ、待ってます。お先です、お疲れ様です。」

カオリは、店の外に出て、何気なく、空を見た。

星が、とても綺麗で…たったそんな事なのに、

カオリは、それが、嬉しくて、安心した…。

久しぶりに見上げた空だった。
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