全て”すき…”から始まった…。
カオリは、亮に言われたように、
ミスタードーナツで、待っていた。
暖かいココアを頼むつもりが、なぜか、
アイスココアを頼んでいる。
こういうシチュエーションで、男の人と
話しをするのは、初めてだ。
それに、相手は、自分が初めてすきに
なった人。
緊張するのも、無理はない。
頼んだココアは、口をつけられることなく、
テーブルの上に置いたままだ。
「ごめん、ちょっと遅くなったね、
結構、混んでるね。」
亮は、お店の中を見渡して、カオリの前に
座った。
「あっ、俺、注文、忘れた、コーヒー頼んでくる。」
そう言って、カウンターに歩いていく。
「安藤さん、ドーナツなんでもいい?」
「私、いいです。」
カオリの今の状態では、ドーナツなど、喉を
通りそうにない。
亮が、自分のコーヒーを持って、
イスに座った。
「あれっ~、ココア飲んでないじゃん。」
「わたし、猫舌なんです。」
「やっぱり、安藤さんって、おもしろいね、
それ、アイスココアでしょ。」
「あっ、そうでした…。」
カオリは、自分が頼んだのが、アイスココアという事を
すっかり忘れていた。
「この前の事…亜美のした事…本当にごめん。
謝って、許して貰える事じゃないけど、
本当、ごめん。」
そう言って、亮は、頭をテーブルにつけ、謝った。
”なんで、亮さんが…。”