全て”すき…”から始まった…。

カオリは、亮に言われたように、

ミスタードーナツで、待っていた。

暖かいココアを頼むつもりが、なぜか、

アイスココアを頼んでいる。

こういうシチュエーションで、男の人と

話しをするのは、初めてだ。

それに、相手は、自分が初めてすきに

なった人。

緊張するのも、無理はない。

頼んだココアは、口をつけられることなく、

テーブルの上に置いたままだ。



 「ごめん、ちょっと遅くなったね、

 結構、混んでるね。」

 亮は、お店の中を見渡して、カオリの前に

座った。


 「あっ、俺、注文、忘れた、コーヒー頼んでくる。」

そう言って、カウンターに歩いていく。


 「安藤さん、ドーナツなんでもいい?」


 「私、いいです。」

カオリの今の状態では、ドーナツなど、喉を

通りそうにない。


 亮が、自分のコーヒーを持って、

イスに座った。

 「あれっ~、ココア飲んでないじゃん。」

 「わたし、猫舌なんです。」


 「やっぱり、安藤さんって、おもしろいね、

 それ、アイスココアでしょ。」


 「あっ、そうでした…。」

カオリは、自分が頼んだのが、アイスココアという事を

すっかり忘れていた。


 「この前の事…亜美のした事…本当にごめん。

 謝って、許して貰える事じゃないけど、

 本当、ごめん。」

 そう言って、亮は、頭をテーブルにつけ、謝った。

 ”なんで、亮さんが…。”
 
< 58 / 118 >

この作品をシェア

pagetop