全て”すき…”から始まった…。
 「カオリ、はやく!はやく!!!」

 「待って!ジュースこぼれちゃうよ!!」


 「めっちゃ可愛いんだって!この猿!

 あっ、後ろに、カオリに、似た猿いる!!!」


 亮とカオリは、動物園に来ていた。

二人の初めてのデートは、動物園だった。

それからというもの、ちょくちょく二人は、

動物園を訪れるのだった。


 「どれ~?私に似てるのって?」


 「ほらっ、今、こっちをチラッと見た奴、

 興味あるくせに、お高いだろ?」


 
 「ふんだ!!!亮なんか、きらい!」

 そう言って、カオリは、ふくれている。


 「えっ?本当に……嫌い?…。」

そう言って、亮は、真剣な顔で、カオリを

覗き込んでいる…。



 「…すき……大好き…ずっと、一緒にいたい…」


 「俺も、すき…、ずっと、一緒にいよう。」


 そう言って、二人は、見つめあった。

 
 そして、お互いのシルエットは、近づいていき、

重なった。

 今の二人には、周りの事など気になるはずは

なかった。



 そこにあるのは、どこまでも続いてる、

青い空と、子供達の笑い声、それに、

好きな人の匂い…優しい光、

幸せが、溢れていた。


”ずっと、続いて欲しい…。いや、そう信じていた”
< 70 / 118 >

この作品をシェア

pagetop