全て”すき…”から始まった…。
「えっ?うそ!」

優美がそう言い、カオリは、浩太の指差す方を

じっと、見ていた。


 「……亮だ…間違いない…隣に居る人は?…

 亜美さんだ…なんで……」

カオリは、自分の体温が、すっーと、冷たくなっていくのが、

わかった。


 「あ~、亜美さん、昨日から、こっちに来てますよ。

 でも、今日、帰るって、言ってましたけど。」


 篤司は、淡々とそう言った。


 「なんで???」

優美が、ムキになって聞いた。

 「友達ですから、昨日会いましたし、

 亮さんと居るのも、親同士が仲がいいから、

 それで、一緒にいるのではないですか?」


 「昨日から……。」

 「カオリ、大丈夫?」

 カオリは、一瞬めまいがして、よろけた。

 昨日、亮と会ってる時、”今日は、早く帰らないと

 いけないんだ”と言っていたのはこうゆう事だったと、

 カオリは、初めて知った。

 亮とカオリは、楽しそうに歩いている。


 カオリは、声を出す事もできず、

ただ、見ていた。


 そんな時、亜美の腕が、亮の腕に絡んだ。


 カオリは、怒りだけが、どうしようもないくらい、


大きくなっていった。


 言葉にできそうもない、怒りが…。
< 75 / 118 >

この作品をシェア

pagetop