全て”すき…”から始まった…。


 「……亮…」



 「カオリ……。」



 「なんで……なんで、亜美さんと

 一緒なの?……なんで、なんで、動物園に…

 亜美さんと来るの!動物園は…動物園は、

 亮と私の特別の場所じゃなかったの!!
 
 私は…そう思っていた……。

 亮のバカ!!!」


 「……ごめん……。」



 カオリは、亮の”ごめん…”と言う言葉を聞いてから、

その場を、走り去った。



 「大げさなんじゃない?亮兄、気にする事

 ないよ!結婚してるわけではないし。」


 亜美は、たいした事ないって感じで、しらっと

言った。

それよりも、カオリが現れて、組んでいた腕を、

自然に離された事の方に、亜美は、傷ついていた。



 「亜美、ごめん。」

そう言って亮は、カオリの後を、

追いかけていった。


その様子を、優美、浩太、篤司も見ていた。

誰も、無言のままで。


 亜美は、亮の走って行く姿を、

じっと見ていた。

嫉妬…嫉妬していた…。
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