全て”すき…”から始まった…。

 「おかえりなさ~い。」


 「ただいま。」


亮が、仕事から帰ってきた。

今日は、二人の結婚記念日だった。

カオリは、亮が帰ってきてから、

二人でお祝いをしようと、朝から、

買い物やら、料理やらで、忙しかった。

仕事をしてないカオリは、亮にプレゼントを買う

お金がなかった。

少し気がひけたが、自分の父親に、お小遣いを

少し貰い、亮に時計を買った。

どれがいいのか、わからなく、店員さんに

進められた物にした。

2万円位のものだった。


 「なに?この豪華な料理???」

亮は、テーブルをみて、そう言った。

亮は、すっかり忘れていた。


 「えっ、だって、結婚記念日じゃん!

 忘れちゃった?」


カオリは、そう言いながら、不安そうに亮の顔を

見た。


 「そっか……。」


そっけなく、亮は、そう言った。



 「これ、プレゼント、毎日、一生懸命

 働いてくれてるから。」


カオリは、わざと明るく、亮に時計の包みを

渡した。



 「…お金、どうしたの?」
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