全て”すき…”から始まった…。

 「…おかえりなさい…。心配したよ……。」


 「…ごめん…ただいま…。」


3日程、亮は、帰って来なかった…。

 「カオリ……。」


亮が、何かを言おうとした。だが、それよりも、

先にカオリが、


「私、別れないよ!亮の事、大好きだから…

ずっと…一緒に居るって、決めたんだから…

離れないよ…。お金の事は、気付かなくて、

ごめんなさい…子供も当分いらないから、

私も働く、私も、頑張るから…。」


 「…子供欲しがっていたのに、いいの?」



 「うん…まだ、若いから、今は、いい。

 二人で、協力して、仲良くしてたい。」


カオリは、本当は、母親にすごくなって

見たかった。

可愛い赤ちゃんを産んで、若いお母さんになって、

幸せな家庭、そんなのに、憧れていた。

ただ、亮にとっては、カオリが、時々話す、

そんな家庭への憧れは、正直つらかった。

亮の中で、そういう準備は、まだ整って

なかった。


 「…カオリ…ごめん…俺も、頑張る…。」


亮は、さっきまで、言おうとしていた自分の言葉は、

胸の中に、しまう事にした……。
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