全て”すき…”から始まった…。
全て”好き…”から始まった…。
 「うん、亜美って子…子供産んだらしいよ。」


 「えっ?結婚したの?いつのまに?…。」

 亜美といえば、亮の幼なじみで、亮の事を

 好きだった女の子だ。カオリの中で、いい印象のない

 女の名前だ。


 「それがね、結婚してないの!篤司も、

 父親が誰とかは、知らないみたい。

 そりゃぁ、そうとう、その事で、いろいろ揉めて、

 両親、特に父親との折り合いが悪くって、家も出て、子供と

 二人で、暮らしてるみたい。

 生活は、どうしてるんだろう?

 まあ、でも、本当に、訳のわからない女だよ。

 あれだけ、亮さんの事、気に入ってたみたいなのに、

 まあ、でも、カオリもこれで、安心じゃない?」


 優美は、篤司から聞いた事と、自分の感じた事を

 思うままに、そう話した。



 「…そうなんだ…。亜美さんって……強い人だ…。

 私だったら、あり得ない…。

 あの人は、自分が決心したら、怖い物なんて…ないのかも…。

 それに…結婚せずに、子供を産むとか、考えられない…。

 結婚してたって、いろいろ難しいのに…。」


 カオリは、怖かった、この亜美という女の生き方

 が、すごく怖かった。

 胸の中が、なんか、ざわざわしていた。

 ”亮は、知ってるのだろうか?”もし、知ったら、

 多分、いろいろ困ってる亜美さんを、ほっておく事が

 できるのだろうか?とか、不安になっていた。


 「あの人は、行動あるのみっていうか、

 後から考えるんじゃないの?それで、

 結局、今、現在、痛い目、あってるんじゃないの?

 多分、そういうタイプだよ!自分で、まいた種、だね。」

 優美は、そう言った。


 「…うん…。」

 カオリは、何となく、胸騒ぎがしていた。


 





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