全て”すき…”から始まった…。

 カオリは、亮が、出て行った後、

部屋のソファーに、ただ、座っていた。

この悲しい現実を、優美とかに、

話す気力も、発想も、失われていた。

カオリにとって、優美は、たった一人の

親友であったが、その親友にすら、

電話かける事が、出来なかった。

カオリにとって亮は、初めて、ちゃんと好きに

なった人で、いろいろな感情…愛しい気持ちとかを、

感じた人だった。

好きな人と、結婚できて、すごく

幸せで、もう、何もいらないと思う位幸せで…

だから、絶対別れるとか、考えたくなかった……。

何かの間違いであってほしかった…。


 一晩中、カオリは、ソファーに座っていた…。

時間の過ぎる感覚も、麻痺していた。

時々、亮との楽しい思い出とかが、蘇ってきて、

それが、又、涙を誘った…。

カオリは、ある意味、亮に、裏切られていたのだが、

そこの感情は、プツッと切れてしまい、

楽しい思い出が、浮かんでくるのだ。

もう、あんな…楽しい二人の時間が、ないと思うと、

それも、又、すごく悲しかった…。

”…追いかければ…よかった…

…行かないで…と言えばよかった……。”
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