全て”すき…”から始まった…。

 夜が明けてくるのを、

カオリは、静かに見つめていた。

亮がいないと、何にもない自分だという事を、

すごく感じていた。

”私が、ここに朝まで、座っていたって、

 誰も困らない…”

そんな事を、思ったり。

不思議と、眠くないし、お腹も空かず、コーヒー

だけ飲みながら、外の景色を見ていた。

カオリの中で、いろいろな感情が、ぐちゃぐちゃで、

消化が、出来てなかった。

どうしたらいいか、わからなかった…。

ただ、亮に会いたかった。

抱きしめてほしかったし、昨日の事は、

無かった事にして、また、一緒に居たかった。

カオリは、亮からの電話を、待っていた。

かかってこない電話を、待っていた…。

”トゥルル…”

携帯がなった…。カオリは、急いで、

電話にでた。

なんの事ない、最近行き始めた、うどん屋さんからだった。

急遽、人手が足りなく、来て欲しいとの事だった。

その日は、仕事の日では、無かったが、カオリは、

行く事にした。

仕事がある事で、カオリは、少し救われたと

思った。

”なにも無かったら、おかしくなってしまう…”
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