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どうやらテツは、偶然にも、アキちゃんの彼氏から、あたしの名前を聞いたらしい。
会えるように取り付けてもらい、まさかとは思ったけど、本当にあたしだったことには、テツもびっくりした、と言っていた。
「見てたよー。箱根駅伝。テレビでだけど」
そう言うと、少し照れたような返事が返ってくる。
「中学の頃はあのちっちゃいグラウンドを毎日走ってるのを見てたのに……。すごいよね」
あたしは、この頃を思い出すと、少しだけ悲しくなる。
「だけどやっぱり、中学の頃に言ってた、先生になるって夢、叶えてたんだね」
努めて明るく言えば、代わりにテツが少しだけ、悲しい顔をした。
中学を卒業してから、陸上を続けるために県外の高校に入学して、そのまま大学まで進んで、箱根駅伝にも出場したテツ。
箱根駅伝があったから、成人式にも出席できなかったテツ。
「……会うのは10年近くぶりになるね」
悲しい顔をしたまま、テツが呟いた。