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教室から、体育館まで、まずは校舎を出なくてはいけない。

ひとりで階段を降りる。



ぼーっとしたまま、階段を降りていると、

「………あ、立川陽菜」

また、誰かから名前を呼ばれた。



声のする方を見ると、2人の男の子が、階段の踊り場でストレッチをしていた。



「………崎島 瞬…………」



昨日、知ったばかりの彼の名前を思わず呟いてしまう。



「あれ?なんで名前。もしかしてヤヨに聞いた?」

初対面のときから変わらない、その口調はどこか、試されているような気もした。



「なかなか上手く行ってんじゃん?キミタチ。付き合うの?結局」

何も言わないあたしにズケズケと、遠慮なしに聞いてくる彼を、もうひとりの男の子が、少し慌てて、止めに入っている。



「あんたってさ、あんまり自分の意思表示しないよね。将来、苦労しそう。浮気とか、平気でされるタイプ」



どうして、たいしてよく知りもしない人にここまで言われなきゃいけないんだろう。



「……付き合う。今度、大会が終わったら。だってあたし、屋良くんといたら楽しいし。自然と笑えるし…」

思わず、ムキになる。



「……意外。感情、表に出すんだ。まあ、いいや。ヤヨ、喜んだでしょ?よかった、よかった」



同じ、中二のくせに……

一気にムカムカしてきて、階段を降りる。





彼から言われた一言、一言を思い出す。

その日の練習は、ちっとも集中できなかった。





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