days
「徒競走ってあるでしょ?」
屋良くんは、会えない日は、毎日、連絡をくれた。
あたしは、自分からメールを打つのも、電話をするのも苦手だった。
話題を作れなかった。
そんなあたしを庇うように、屋良くんは連絡をくれる。
そしてこの日は電話で、話題は体育祭のことだった。
「うーん…」
「あれ?まさか、体育祭、乗り気じゃない?」
こんな風に、屋良くんとあたしの間には時々、考え方に違いが出る。
「楽しいよ、走るの!」
「陸上部だもんね、当然か」
「徒競走でさ、陸上部だけなんでか学年の陸上部だけで走んの」
体育祭にかかせない徒競走。
5人一組になって、その速さを競う。
「俺は、シュンとテツとあとは同じ短距離の奴2人と競うんだ」
シュン君も、一緒なのか…。
1500mが専門って言ってたけど、トラックを走るのはどうなんだろう…。
「……陽菜?」
「…………」
「……陽菜?」
「…っ?えっ、ごめん、ちょっと考え事してた」