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「よーい……ドン」
ゆかちんのお陰で、ゴール付近で観れることができた、ミサキとあたし。
1組目から順番に、走り始めていく。
「いよいよ、最終組になりました。この種目の大目玉、陸上部による対決です」
アナウンスによって、ひとりひとりの名前がコールされる。
「誰が勝つかな」
「勝つかな、じゃなくてさ。彼氏なんだからヤヨを応援しなよ」
あたしがそう、ぼそっと呟いたら、ミサキが大きな声で返した。
「よーい、ドン」
審判の合図で、5人が同時に走り出した。
さすが陸上部というだけあって、キレイなそのフォーム。
「だけど、やっぱり……」
シュン君の走る姿は、特別な気がする。
かたまりになって5人の中でも、シュン君の回りだけは、時間が止まってかのいるような。
キレイ。
一見、キレイで隙がなさそうなんだけど、どこか脆いような……。
そんな、シュン君の走り。
はっ、と気付いた時には、いつの間にか、5人ともゴールしたようだ。
接線を制したのは、屋良くんらしく、誇らしげに1位の札を持っている。
ゴールしたあとは、5人でかたまって楽しそうに談笑している。
「やっぱり、陸上部って仲良しだよねえ~」
ミサキの言葉の向こうで、いつもと変わらない、にやりとした笑いを浮かべているシュン君が見えた。
その手には、「5」と書かれた札を持っていた。