days
「あの子の、頑張る原動力になってくれて、ありがとうね」
やっぱり、明るい笑顔のまま、屋良くんのお母さんは、あたしに言う。
「あら。ついつい、話し込んじゃった。じゃあ、いつかうちに遊びに来てね、陽菜ちゃん」
そして、そう言って手を降りながら、あたしの前から去っていった。
原動力……?
あたしが……?
はぁ、と大きなため息をついて、体育館の裏まで歩いた。
ここは人通りもなくて、あたしはやっと、何かから解放されたような気持ちになった。
外から体育館に行くための、階段にあたしは腰をおろした。
(グラウンドに戻りたくないな……)
そんなことを考えていると、前からこっちに向かって、ひとり、人が走ってくる。
「ここにいたっ。探したよ」
「屋良くん……」
今はなんとなく、会いたくなかった。
なんでかは、自分でもよくわからない。
たぶん、元々あたしは、あんまり人と関わるのが好きじゃないからだと思う。
だけどそんなこと、屋良くんには言えるはずがなかった。