days
「どうかしたの?」
「うん。徒競走、見てくれた?」
「見てたよ。1等、おめでとう」
「1」の札を持って、にこやかに笑っていた屋良くんを思い出す。
「頑張ったよ。陽菜にいいとこ見せたかった」
「かっこよかったよ」
そう言うと、屋良くんは本当に嬉しそうににこにこ笑っていた。
「さっきね、屋良くんのお母さんに会ったよ」
ふと、そんなことを言うと、屋良くんの顔は一気に焦ったように変わった。
「母さんに?何か、言ってた?」
「お礼、言われたよ」
「お礼……?」
屋良くんは、焦った顔から一変、不思議そうな顔をした。
不思議だったのは、あたしの方だ。
お礼なんてされること、なに一つしてないのだから。
「屋良くんが、頑張る原動力になってくれてありがとう、だって」
あたしはどうしてか、屋良くんの顔を真っ直ぐ見ることができなかった。