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「んーん。なんでもない。屋良くん、リレーにも出るんだよね?」
「うん。今から」
「さすが、陸上部だね!がんばってね。じゃあ、あたしちょっと荷物取りに行くから」
屋良くんにそう告げて、足早に、体育館へ向かった。
もちろん、荷物を取りに行くなんて今思いついた嘘。
無理はしてないけど、ただ……。
ただ、に続く言葉。あたしが何を言おうとしていたのかは、自分でもわからなかった。
だけどわかるのは、あれ以上、何かを発してはいけなかった。
あたしはきっと、屋良くんを悲しませていた。
その判断だけは、自分を褒めたい。
ガラガラと、用事のない体育館のドアを開ける。
グラウンドとは正反対で、やけに静かで蒸し暑かった。