days
「屋良くんの、お母さんに会ったんだ。ついさっき」
「そか。よく喋るよな、幸太郎の母ちゃん。明るくて、あったかくて、ああいう母ちゃんってのはドラマの中だと思ってたよ、俺」
なんとなく、本当になんとなくだけど、シュン君が悲しげな顔をした気がした。
「シュン君のお母さんは、どんな人なの?」
なんでかシュン君と、これ以上、屋良くんの話題をするのが嫌で、話を反らした。
「……うちは……」
シュン君が話し出したのと、それはほとんど同時だった。
「陽菜ちゃん?」
振り返ると、そこに立っていたのは、バレー部のゆかちんで、手提げのカバンを持っている。
「アナウンス、聞こえなかった?お昼休憩だよ。お昼ご飯、食べないの?」
笑顔でそう言うゆかちんに、聞こえなかった、と言って、体育館を後にした。