days
「なんで、ここにいるの?」
「それは俺のセリフ」
いつものジャージ姿のシュン君は、驚いた顔は一瞬のことで、もういつもの口調に戻っていた。
「ちょっと、忘れ物をね」
ドアに目をやりながら言うと、シュン君は、なるほどね、と言った顔をした。
「開けてやろうか」
試すような口調で、シュン君はそう言った。
「陸上部の備品は、いくつかは校内の倉庫に置かれてる。必然的に、俺らは休みの日もここだけは開けることができる」
教員用のドアを見ながら、疑いの目を向けたあたしに説明するように言った。
「開けてよ」
半分はどうせいつものからかいなんだ、と思ったから、ちょっとぶっきらぼうに頼んだ。
「そこのボタン」
シュン君に言われた方を見ると、たしかに数字がかかれたボタンが設置してある。
「マンションとかと一緒。鍵でも開くけど、数字を打ち込めば開くんだよ」
そこには、慣れた手つきでピピッ、と数字を打つシュン君がいた。
ガチャ、と無機質な音がして、ドアが無事に開いたことを知らせる。
「はい、どーぞ」
「すごい!ありがとうね。いや、正直ここまで来て開いてなかった、じゃありえないと思ってたんだよ。いやほんと、ありがとう」
なぜかわからないけど、すごく嬉しかったから、明るい口調でお礼を言った。