・゜゜・*:.。きらきら・゜゜・*:.。.
桜の木の下で
―キーンコーンカーンコーン―

『絵理子っ!早くしてよ~置いてくよ~!』

『ごめん!真依夏!先に行ってて。』

高校生になって1週間が経った。
入学式の時には寂しかった校庭の桜の木も,見事に花を開いた。

中倉絵理子。藍羽高校1年。

隣の中学出身の真依夏とも仲良くなって,充実した日々を送っていた。

おかしいなぁ~?
私,美術の教科書持ってきた気がしたのに。
あるはずの美術の教科書を,机の中をまさぐって探していた。

『あった!』

やっと発見。私は美術室へ走った。
美術の担当の先生は怖いって有名。
私,入学早々に授業に遅刻なんて・・・かなりイメージダウンじゃん。

―ガラガラッ―

『すいません・・・遅れました。』

『おいお前。名前は何だ。』

『中倉です。』

『お前,入学早々に遅刻なんて,なかなかいい度胸だな。この野郎。
この時間は廊下で立ってろ!!』

『はい・・・次からは気をつけます。』

クラスメイトの前で怒鳴られた私は,渋々廊下に・・・。

最悪。

廊下の窓から外を覗いて見た。

雲1つない空。

でも一筋だけ,

飛行機が飛行機雲を描いてる。

―ダン―

『あんた誰?』

『は?』

突然,誰かが現れて突然問いかけられた。

この人・・・もしかして・・・同じクラスの・・・・・・
ん~・・・・えっと~・・・・・
高井健児!!

『中倉絵理子。あんたと同じクラスの。』

『あ~!そういえば。いたね,中倉さん。』

そういえば・・・って私って影薄いのか!?

『高井,なんでココにいるの?』

『遅刻。今から教室入るけど,どうせ廊下に立たされるよ。中倉は?』

『私も遅刻。だから廊下にいんの。』

『じゃ,俺も廊下立つから,よろしくな。』

―ガラガラ―

私・・・髪のびたなぁ。
ゴールデンウィーク前に切っちゃおうか。
長くたってこれからの季節は暑苦しいだけだし。
自分のえりあしを触って,改めて長いと感じる。

春とは言い難いこの暑さ。
窓の向こうの太陽は,廊下を明るく照らしている。

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