別れた二人
向かった先は、デート定番の水族館。
「・・永倉州でも、水族館って来るんだね?」
「あ??俺めっちゃ水族館好きなんだけど??良く彼女とも・・・」
「・・・・・・」
「・・・来たりしたし。あ!!ピラルクって知ってるか?超でかくなる魚なんだぜ?!」
永倉州は、話を逸らすかのようにはしゃいでみせる。
その姿が・・・とても辛かった。
昨日の事・・・話さなくていいのかなぁ・・・
今でも・・・元カノのこと・・・好きなんだよね??
・・・やっぱり・・・傷つくのは可哀想だし・・・黙っていよう。
「・・お・・い?あおい?」
「は、は、は、は、はいぃ?!?!」
「なにボォ~っとしてんだよ・・・水族館つまんない??」
「ううん!!あたしも水族館って好きだから♪彼氏とこの水中トンネルの所でよくキスしたなぁって思いだして・・・アハハハ・・・あ!!お腹空かない?!ご飯食べに行こうか!!」
ちょっと小走り気味に歩くあたしの腕を・・・永倉州は掴む。
「・・・あおい??」
「ホラ♪なんか、いいよね?この水中トンネル♪自分が魚になった気分だよね~」
永倉州に背中を向けてわざとそんな事を言ってみたり
・・・うわっ・・白々しい・・あたし・・・
「あおい・・・しよっか・・・」
「・・へ??なに・・・・」
永倉州の方に振り向いて、《何をするの?》と言いかけたけど・・・
あたしは言葉を発する事が出来なくなっていた。