別れた二人
教室に戻り、自分の席に着く。
いつもなら隣の永倉州とバカな話とかして過ごすんだけど。
さすがに今日はお互いに顔を合わせることも無く・・・
そんな二人をみて、クラスの皆は、あぁ・・別れたんだ・・・と察知した。
そういう話って、広まるの早いんだよね。
その日の昼休みにはもう学年中に広まり、その日の帰りには学校中に広まっていた。
元々人気のあった永倉州の周りには、永倉州狙いの女子が集まり・・
「先輩♪デートしてくださーーい♪」
「メアドおしえてーーー♪」
「彼女にしてーー♪」
・・と、甘い声が響いた。
・・・真横にあたし座ってるんですけど・・・。
・・・そんな女子たちにたまにチラっと見られるのがムカッとするんですけど・・・。
・・・ここにいると切なくなる・・・帰ろ・・・
あたしは、さっさと帰りの支度をして教室を出た。
廊下を歩きながら、ふと窓から空を見る。
・・・雨降ってくる前に帰らなきゃ。
少し急ぎ気味に廊下を歩き、靴を履き替えて、外に出たところで・・・
・・・ポツ・・・ポツッ・・・と雨粒が落ちてきた。
やっちゃったなぁ・・・
とりあえず、玄関の柱にもたれて、雨宿りするか、このまま駅まで走るか考えていた時・・
「州がさぁ・・・」
あたしがもたれている柱の後ろから、今一番敏感にになってる人の名前が聞こえてきた。