別れた二人
ローファーから校内用のスリッパに履き替えて、たまたま空き教室の中に目がいった。
・・え・・・嘘・・・
思わず立ち止まってしまう。
空き教室の中には康太が居て・・・
女の子とキスをしていた・・・
あたしの異変に気付いた由貴もその光景に驚いていた。
「ちょ・・ちょっと・・何アレ・・・」
何度も何度も繰り返される濃厚なキス・・・
最近はあたしがキスしたいって言っても、「口内炎が痛いから・・」って拒否ってたよね?
「あ・・あの女、一年の佐藤里香だよ!!守ってあげたくなるぅ!!超可愛いって男どもが言ってた!!」
その佐藤里香って子は、女のあたしから見てもふわふわな雰囲気で可愛くて、まるで子犬のような子・・・
守ってあげたくなる・・・わかる気がする。
あたしとは違うタイプ・・・
あたしの見た目は、どちらかというと猫っぽいって言われる・・・中身は違うんだけど・・
「・・康太も可愛い子が好きだったんだ・・・」
あたしはハハハっと自嘲気味に笑った。
「あたしは、あおい見たいな綺麗な顔に憧れるけどなぁ・・あんな、子犬みたいじゃなくて!!ってか、受験に集中じゃなかったんだ?!最低だね!康太先輩・・・」
「はぁ・・・もうなんだかギブアップ・・・とりあえず行こうか・・・」
あたしと由貴はそのまま自分たちの教室に向かった。