月光
「フラッシュバック」
誰もいない朝方の浜辺…
隣で私の手をギュッと握り、ただ黙って波を見つめる大きな身体をしたあなた。

私も黙って一緒に潮騒の音を聞いている。

あなたに出会うまではこんな瞬間が私にも訪れると思っていなかった。海を眺めてるだけなのに、どうしてこんなに心地良いんだろう…。

一度はこの先一生独りを貫くんだと思っていたけれど、もうそんなつまらないこと考えなくてもいいんだと。

その大きく温かい手。
私に必要だったのは、クサい台詞でもダイヤの指輪でもない…まさにあなた自身なんだよね。


私は目を閉じ、記憶を辿る。
ひとりぼっちだった頃の私…。
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