そして僕は恋に墜ちた
16.
頭が混乱する。
僕は一体、何を見ているのだろうか。
恐る恐る、上を見上げると、正面を見据えたアリスの顔を、下から眺める形になった。
アリスの視線を追うと、口をぽっかりと開けた、見た事も無い程間抜けな顔をした大悪魔が立っている。
もう1度、鏡に目をやると、僕によく似た赤子と目が合う。
僕一人だけ、意味が分からずに、なんだか取り残された気分だ。