そして僕は恋に墜ちた
だんだんと、意識が遠のいていくと、手足が信じられないくらい重く感じた。

鉛にでもなったみたいだ。

両手足が付け根から抜けてしまいそうな、そんな感覚だ。


―10分か20分か。



正確な時間は分からないけど…普通の人間なら、とっくに川を渡っている筈なのに、僕の意識はまだあった。

ぼぅっとしていたけど、頭の芯の部分だけは覚醒している様な不思議な感じだ。

悪魔の生命力はよっぽど強いんだろう。



手足の重みは一層増し、まるで僕をこの世に引き止めているようだった。

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