そして僕は恋に墜ちた
一体、何が起こったのか分からない。

苦しさと腹部の痛みに耐えながら、まだ重たい手で床を押してなんとか体を起こし

僕の上に飛ばされて来たものを確認した。

それを見た瞬間、一瞬にして自分の回りの映像は消し飛び、飛んで来たそれに釘付けになった。


『……ス!!)


大きな声で呼んだつもりだったが、長い間喉元を締め付けられていたせいか、うまく声が出なかった。


黒い髪に覆われて、アリスの表情までは見えない。

だけど、あれだけの衝撃で落ちて来たにも関わらず、動く気配も無いアリスは、やはり息絶えているのだろう。



(…僕は?)



生きている。


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