そして僕は恋に墜ちた
『…なんだよ』

僕は、アリスを体の上からそっと退けると、ゆらゆらと立ち上がった。

相変わらず、体は重い。
手足の関節から、ぎしぎしと、音が聞こえそうだ。

だけど、アリスの命を奪おうとした大悪魔を、許せなかった。

掴み掛かって、殴ってやりたい。


そう思って、一歩を踏み出した時

『うまく…いった様だな』

と、大悪魔が呟いた。


うまくいった?

何の話だ?


分からないという僕の表情を見て、大悪魔は弱々しく笑った。


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