そして僕は恋に墜ちた
『服を着たらどうだ?』

大悪魔の一言に、ようやく僕は自分を確認し、誰に問い掛けるわけでも無く、僕はぽつりと呟く。

『な…んだ?』


服は着ていない。

それはさっき、アリスが僕を抱え上げた時、服だけが床に残されたのだから、当たり前だ。

僕が驚いたのは、そこでは無かった。

アリスへの儀式の影響で、生まれて間もない赤子になってしまった僕の体が元通りになっていたのだ。


僕は、夢を見ていたのだろうか。


だけど、アリスに抱かれていた事も、大悪魔に殺されかけた事も

生々しく体が覚えている。

じゃあ、どうして?

分からない。




だけど、頭の芯の部分が、信じたくない答えを導き出した。


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